Bの日常

泡になって消えてしまいました。
アリエルのようには幸せにはなれなかった。
ただ、それで良かったのだと「人魚姫」は思っただろう。

出会って以降、自分にしつこく寄ってくる人物がいた。
それは今となりで喋っているAだ。
何でもAはあの「白雪姫」らしい。かなり変わってしまったのだとAの外見をみて驚くしかなかったが関わってみると性格やたまにみせる表情はあの頃の彼女の面影がちらちらと見えた。

このAは友達になったはいいものの。何かと変人だ。
恋占いや相性診断、モテるしぐさやラッキーアイテム、好みのタイプやあとDのことを色々と教えてくれるが、はっきり言ってうっとおしい。
何がしたいのか分からない。

このAには170cmもある俺がまだあの時の「人魚姫」にでも見えているのだろうか。
それなら早急に眼科受診をすすめたいが、そう聞くと「え?分かってるよ。」と逆に変な目で見られたのでそこからは深く話し合うことはやめた。

Dは「人魚姫の王子様」の生まれ変わりだ。Aが言っていたように俺も直感で分かったが、特に深くかかわるつもりもない。正直言って何の感情も沸いてはこなかった。

やっぱり前世は前世で過去であるのだ。

ただAはそうではないらしく。なんとなくだが俺をDをくっつけたいようだった。
余計なお節介にもすぎる。

Dは女子でかなり学校でも可愛いと有名なJKだった。さすが王子の生まれ変わりというか。
現世でもモテるようだ。


ただDは俺のことをどうも思っていないし。まして泡になって消えたのだから何も知らないだろう。
覚えていなくても
「え?あの声でなくで私に気があるふりしてたけど急に城から忽然といなくなった不思議ちゃん?」
ぐらいだろう。

さっきも言った通り全然俺はDのことを特別に思っていないただの同級生だがAは何だか違うらしい。

「だってさぁ。勇気だして知らない世界のなか愛のために頑張ってたのに誰にも知られずに~」
急に前世を思い出して涙ぐみ、あいつの愚痴を長々と聞かされることが何度あったか。

あの時の「人魚姫」はAだったんじゃないかと思うぐらい感情移入しているようだった。
それを見るとはっきりとお節介だとも言いいにくかった。
Aは本気で俺を幸せにしたいようだ。変人的な行動だが、それだけは分かった。
そこまでするほどのことだっただろうか。
前世で溺れていたところをただ一度助けただけなのに。

昔に終わった物語のバッドエンドをやり直す必要はない。
きっと前世の「人魚姫」だってそう思うはずだ。
王子よりもこんなに自分を大切にしくれる相手が今いるんだから。

今の俺はAと過ごせるだけでここ最近の毎日になんとも言えない充実さを感じていた。

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